私はTOEIC専門の英語講師をしています。日本語教師の資格も持っていて、本格的に英語講師の仕事をする前は日本語も教えていました。
そんな語学を専門にする私に言わせると、どの言語も基礎の文法と単語が大切だと思っています。
今日は、英語講師であり、カナダではオンラインで1年半、心が半分カナダにある生活をしてきた者としての視点で英語の基礎の大切さについて語らせていただきます。
例えば海外旅行をする程度なら、事前の英会話のレッスンくらいでなんとか楽しくできるでしょう。しかし、言語を使って生活をする、学習をする、となると、途中でロジカルに理解するということが必要となり、言語の基礎がないと、深い思考ができないのです。
具体的に英語で言うと、現在完了形を含む時制がしっかりわかることで、「えっと、まずこの話があって、その後にこうなって、、、。」という時間の前後関係のある話を理解できるようになる基礎となります。関係代名詞のロジックを理解して、その上に積み重なるように現在分詞が、さらに受動態(受け身の文)を理解して、初めて過去分詞を使った文が理解できるようになります。カナダの高校でのテキスト、プリント類、先生のお話にはこういった文法が当たり前のように散在しています。
同じ留学生でも、ヨーロッパ人たちはもともとアルファベットの言語ですし、さらに言えば、専門用語になればなるほど英語と単語が近くなり、彼らは、より有利になります。対照的に、ひらがな、カタカナ、漢字のミックス文化を持つ私たち日本人はもともとヨーロッパ人よりも不利なスタートなのです。さらに日本語の文法は多くの言語と違い、非常にユニークな構造なのです。そんな不利と不利の掛け合わせみたいな日本人留学生だというのに、残念なことに質問をためらうシャイな人が多く、そうなると、せめて英語の基礎を持っていないとね、という話なのです。
リッチモンド、息子の学校とやり取りをしていて思うことがあります。お隣のアメリカとは全然違うんだな、と。アメリカ人と話していると、相手の気持ちよりも自分の意志を貫きとおす場面があり、その潔さには、「そこまではっきり言うんだなぁ。相手が傷つくかどうかは二の次なんだなぁ。」と感動(?)さえするときがあります。もちろん個人の性格にもよるわけですが。
カナダ人の傾向としては、そんなお隣のアメリカ人と違い、どちらかというと、イギリス寄りの相手を尊重するやわらかな言い方を好みます。さらに、リッチモンドは中国人が多いことから、アジア文化をわからないながらにも理解しようとする柔軟な姿勢があるようですが、しかし、やはり、リッチモンド、学校としてはっきりとしないといけない場面があります。そういった場合に、わりと遠回しにこちらを気遣って言い方を気を付けてくれることがあります。皮肉なことに、むしろリッチモンド側が良かれと思ってやんわり答えてくれる場面で「YesよりのYes」なのか、「譲歩してYes」で、本当はダメなんだけど、今回だけですよ、ということなのかを察しなければならない場面があり、ここで強い英語を超えた真のコミュニケーション力を求められます。私自身は、ここでときどき判断に迷います。英語の基礎ありきで迷う場面なのです。しょっちゅうではないけれど、留学生にもこういった「ここぞ!」という場面があります。
さらに「あのときさ~、やっとけばよかったんだよねぇ。」みたいな微妙な願望や後悔を表すときに使う仮定文も日々の会話で相手の感情を理解するのに結構大事な文法です。例えば、この仮定法は、はっきり言いにくいことや、本当の気持ちをやんわりと言うときにも使います。ここで仮定法を知らず、「明日天気がよければ出かけましょう。」みたいな一般的なif(直接法)の使い方しか知らないと、時制としてもいつのことを言っているのかわからず、相手が本当に言わんとすることも理解できず、相手との気持ちのやり取りがちぐはぐになったりします。
以上のことが頭で整理できているのが準2級、もしくは2級だと思います。
気を付けていただきたいのが、英検準2級(もしくは英検2級)があれば、授業についていける、日常会話で困らない、ということでは決して、決してありません。あくまでも、自分が基本的な文法知識があり、それなりの長文が理解できるスタート地点に立っているという、一つの基準にすぎないと思います。
また、実際に留学してみると日々大変で、「英検2級を持っていても何にもならない。」と感じる留学生もいると思います。しかし、2級がなければ、留学してから英語の基礎作りとなり、もっと大変な目に遭うことになります。
まず留学生は、留学して、日々、山のように知らない単語に出会います。私自身もPACミーティング(保護者会)で聞いたことがない単語が出て、その単語についての話になると、なんのことを言っているのかわからないことがあります。後でカナダ人の友人に聞いてみると、カナダではしょっちゅう聞くけど、日本での生活で使う場面がない言葉だったりします。
このように、留学生は、留学してみて初めて聞く単語に出会う日々になるわけですが、では、留学前に万全に準備ができるかという話になると、そんなに大量の単語を事前に覚えるのは非現実的な話だと思います。
そういった意味でも、できる準備というのは限られ、しかしできる準備もある、とも言え、留学前にせめて英検準2級(できれば英検2級)を取ることをお勧めします。
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